「AIで作ったイラストを、授業のプリントやスライドに使っても大丈夫?」。教材づくりにAI画像を使い始めた先生から、よくいただく質問です。
結論から言うと、「AI画像だから何にでも自由に使える」とは言えません。使うツール・プラン・使う場面(授業で見せるだけか、配る・学校HPに載せる・コンクールに出すか)によって、気をつける点が変わります。この記事では、①日本の著作権の考え方(文化庁の整理)、②学校で使うときの実務上の考え方、③各ツールの規約で確認すべきこと、の3つを、先生向けにやさしく整理します。
📌 はじめにお読みください
本記事は法的な助言ではありません。文化庁の公開資料と各社の公式規約をもとにした、先生向けの整理です。「この画像に著作権がある/ない」「侵害になる/ならない」といった個別の判断はできません。規約は変わるため、最新の内容は必ず各社公式で確認し、判断に迷うときは校内の情報管理担当・管理職や、必要に応じて専門家にご相談ください(2026年時点)。
先に結論:先生が確認したい3つのポイント
教材にAI画像を使う前に、次の3つを順番に確認すると迷いにくくなります。
- ポイント1:他人の作品・キャラ・商標を「狙って似せて」いないか(著作権・商標などの観点)
- ポイント2:使うツール・プランの規約で、その使い方が認められているか(各社の利用規約)
- ポイント3:授業で見せるだけか、配る・掲載するかで扱いが変わる(学校での実務)
大事なのは、「日本の著作権の考え方」と「ツールの利用規約」は別の話だということ。両方を分けて確認するのがコツです。
① 日本の著作権の考え方(文化庁の整理)
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月)をもとに、要点だけをやさしくまとめます。
AIが作った画像に著作権はある?
AIが自動で生成しただけのものは、「人の思想・感情を創作的に表現したもの」とは言いにくく、著作物に当たらない場合があるとされています。一方で、利用者が細かい指示や試行錯誤による選択など、創作的に関与した場合は判断が変わり得ます。つまり一律には決まらず、ケースバイケースです。
他人の作品に「似ている」と問題になる?
著作権侵害になるかどうかは、「類似性」(表現が共通している)と「依拠性」(既存の作品に基づいて作られた)の両方で考えられます。特に、利用者が既存の作品を知っていて、それに似た表現を生成させた場合は、依拠性が認められ侵害が成立し得るとされています。最終的な判断は個別の事案によります。
💬 先生向けの補足
子どもたちに人気のキャラクターを「〇〇(作品名)風で」と指示して教材に使う、といった使い方はトラブルのもとになりやすいところです。避けておくのが無難です。
② 学校で使うときの実務上の考え方
ここが先生にとっていちばん気になる部分です。同じAI画像でも、使う場面によって気をつける度合いが変わります。
「授業の中で見せる」場合
教室で子どもに見せる、板書やスライドに使うなど、授業の過程で使う場面は比較的取り回しやすい場面です。ただし「AIだから何でもよい」ではなく、上のポイント1(他人の作品・キャラ・商標を狙って似せない)は必ず守ってください。
「配る・掲示する・外部に出す」場合
プリントとして配布する、学校のホームページや学級通信に載せる、コンクールや外部の場に出す——こうした場面は、授業内で見せるだけのときとは扱いが変わり得ます。学校の情報発信ルールや著作権法上の考え方(学校での複製等に関する規定など)が関わるため、校内の情報管理担当・管理職に確認してから使うのが安全です。
生成AIの学校での使い方全体については、文部科学省のガイドラインを整理した文科省「生成AIガイドライン」やさしい解説もあわせてご確認ください。国も「禁止」ではなく「留意点を押さえて使うこと」を求めています。
③ 各ツールの規約で確認すべきこと
いちばん誤解されやすいのがここです。ツールとプランによって、使ってよい範囲が大きく違います。以下は公式情報をもとにした「確認の目安」です(最新は必ず各社公式規約でご確認ください。2026年時点)。
| ツール | 使い方の目安(要・公式確認) | 先生が特に見る点 |
|---|---|---|
| Canva(Magic Media) | 生成物は原則ユーザーに帰属し利用できるとされる | 独占権はなく、禁止用途あり。教材配布は規約範囲か確認 |
| Adobe Firefly | 商用的に安全とされるデータで学習・利用可(ベータ除く) | 条件・補償はプラン次第。無料枠は補償対象外 |
| Microsoft Designer | 公式FAQは「個人・非商用利用」とされる系統あり | 配布・掲載に使う前に最新の公式条件を必ず確認 |
| OpenAIの画像(ChatGPT等) | 生成物の権利はユーザー側・利用を妨げない | 他人の権利の非侵害までは保証されない |
💬 補足
「規約上その使い方ができる」=「何を作っても安全」ではありません。規約上の可否(ツールの話)と、他人の権利を侵害しないか(著作権・商標・肖像の話)は別。両方をクリアして初めて安心して使えます。
各社の公式情報(最新をご確認ください):Canva AI Product Terms/OpenAI Policies/Microsoft Designer FAQ/Adobe Firefly(Adobe公式の「Firefly FAQ」で確認)
教材にAI画像を使うときの安全チェックリスト
- ✅ 特定のキャラ名・作家名・作風・ロゴ・商標・有名人の顔を狙って似せていないか
- ✅ 使うツール・プランの公式規約で、その使い方が認められているか
- ✅ 生成物が既存の作品に似ていないか(ネット検索などで確認)
- ✅ 授業で見せるだけか、配布・掲載・外部提出かを区別したか
- ✅ 配布・掲載する場合は校内の情報管理ルール・管理職に確認したか
よくある質問(FAQ)
Q1. 授業のスライドにAI画像を使うのは大丈夫ですか?
A. 授業の中で見せる使い方は取り回しやすい場面ですが、「他人の作品・キャラ・商標を狙って似せない」ことと、使うツールの規約は必ず守ってください。配布や掲載に回すときは扱いが変わり得るので、校内ルールを確認しましょう。
Q2. 子どもに人気のキャラを教材に使ってもいいですか?
A. 特定のキャラクターや作品を狙って似せる生成は避けるのが無難です。既存の作品を認識して似た表現を生成させた場合、依拠性が認められ侵害が成立し得るとされています。オリジナルの雰囲気を言葉で指定する(例:やわらかい水彩風の動物)方が安全です。
Q3. 作ったAI画像を学校のホームページや学級通信に載せてもいい?
A. 授業内で見せるだけのときとは扱いが変わり得ます。学校の情報発信ルールが関わるため、載せる前に校内の情報管理担当・管理職に確認してください。
Q4. 無料プランと有料プランで違いはありますか?
A. あります。同じツールでも、無料と有料で使ってよい範囲が変わることがあります。自分が使うプランの公式規約で、その使い方が認められているかを確認してください。
Q5. AIで作った画像に著作権はありますか?
A. 一律には決まりません。AIが自動生成しただけのものは著作物に当たらない場合があり、利用者の創作的な関与の程度によって判断が変わり得ます。個別の判断はケースバイケースです。
Q6. 心配なときはどうすればいいですか?
A. 各社の最新の公式規約を確認し、キャラ・商標・有名人を狙わない、使う場面(見せる/配る/掲載)を区別する、校内ルールに沿う、必要に応じて専門家に相談する、といった対応が考えられます。
まとめ:迷ったら「狙って似せない・規約・場面」を確認
- ✅ 「AI画像だから自由」ではない。ツール・プラン・場面で変わる
- ✅ 他人の作品・キャラ・作家・ロゴ・商標・有名人を狙って似せない
- ✅ 使うツール・プランの公式規約で、その使い方が認められているか確認
- ✅ 授業で見せるだけか、配布・掲載・外部提出かを区別する
- ✅ 配布・掲載は校内の情報管理ルール・管理職に確認
- ✅ 判断に迷う法的な問題は専門家へ。最新は公式で確認
👉 参考(公式):文化庁「AIと著作権について」
次に読むなら:
- 教材の挿絵に使える無料ツールを知りたい方は先生の教材づくりに使える無料AI画像ツール5選へ。
- 学校での生成AIの使い方全体は文科省「生成AIガイドライン」やさしい解説へ。
- 授業準備でのAIの使い方は教員がAIを授業準備に使う実例へ。







