この記事を書いた人
現役の小学校非常勤講師と、小学生向けオンラインスクールの講師をしています。ふだんは授業の準備や教材づくりにAIを使い、オンラインの授業では実際に子どもと一緒にAIを使う場面もあります。特定のスクールへ勧誘することはなく、保護者と先生の両方の目線で、中立にお伝えします。
「AIを授業準備に使えると聞くけれど、実際、先生はどう使っているの?」。忙しい毎日の中で、AIで少しでも準備を楽にしたいと感じている先生方に向けて書きました。
結論から言うと、AIは授業案のたたき台づくり・教材やプリントの下書き・保護者への文章の下ごしらえといった「下準備」で、とても頼りになります。答えを丸投げするのではなく、たたき台を出してもらって自分で仕上げる。この使い方なら、準備の時間を減らしつつ、授業の質は落としません。この記事では、私が実際に授業準備でAIを使っている場面を、具体例で紹介します。
教員向けのAIツールそのものを比べたい方は、教員向けAIツール7選の比較もあわせてご覧ください。この記事は、その「具体的な使い方」の部分を深掘りしたものです。
結論:AIは「下準備」で先生を助ける
先に、この記事で紹介する使い方を整理します。AIが力を発揮するのは、次のような下準備の場面です。
- 授業案のたたき台:ゼロから考えるより、たたき台を出してもらって直す方が早い。
- 教材・プリントの下書き:例題や説明文のもとを作ってもらう。
- スライドの構成づくり:伝える順番の骨組みを相談する。
- 保護者への文章の下ごしらえ:伝えたいことを、やわらかい表現に整えてもらう。
私自身、AIを便利だと感じるのは、答えを出してくれることより、自分の頭の中にある考えを整理して、相手に届く言葉に変えてくれるところです。授業準備でも、この「整理してもらう」使い方が中心になります。
実例1:授業案のたたき台を作る
授業案をゼロから考えるのは、時間がかかります。そこで、AIにたたき台を出してもらう使い方です。
こう使う
「小学4年生の算数『わり算の筆算』の45分の授業案を、導入・展開・まとめの流れでたたき台として作って」のように依頼します。出てきた案をそのまま使うのではなく、自分のクラスの子どもたちの顔を思い浮かべながら、直していくのがポイントです。
ここが大事
AIが出す授業案は、あくまで一般的なたたき台です。目の前の子どもたちの理解度や興味に合わせて調整するのは、先生にしかできません。私が大切にしてきたのも、一人ひとりに合わせて関わり方や教材を変えることでした。AIはその「土台づくり」を早めてくれる道具、と考えると使いやすいです。授業ですぐ使えるプロンプトの例は、授業ですぐ使える教員向けAIプロンプト50選にまとめています。
実例2:教材・プリントの下書きを作る
例題やワークシート、説明文などの下書きも、AIが手伝ってくれます。
こう使う
「小学3年生向けに、『あまりのあるわり算』の練習問題を10問、答えつきで作って」「この説明文を、小学生にもわかるやさしい言葉に書き直して」のように依頼します。数字や答えは必ず自分で確かめてから使ってください。AIは計算をまちがえることがあります。
ここが大事
下書きができると、あとは手直しだけなので、ゼロから作るより格段に早くなります。ただし、内容の正しさの最終確認は先生の役目です。とくに問題の答えは、必ず自分で解き直してから配ってください。
実例3:スライドの構成を相談する
授業スライドを作るとき、「どんな順番で見せると伝わるか」の骨組みづくりにAIを使います。
こう使う
「『ごみの分別』を小学4年生に教えるスライドの構成を、興味を引く導入から順に考えて」と相談します。骨組みができたら、あとは自分で肉付けし、デザインを整えます。私はデザインに苦手意識があるので、この「構成の整理」をAIに手伝ってもらうと、とても助かります。
ここが大事
構成の相談までがAIの得意分野です。実際に見せる図や写真、クラスに合わせた例えは、先生が加えていく部分です。NotebookLMのような資料をもとに使うAIの活用は、NotebookLMの授業活用でも紹介しています。
実例4:保護者への文章の下ごしらえをする
保護者への連絡やお便りの文章づくりにも、AIは役立ちます。言葉選びに気をつかう場面だからこそ、下ごしらえがあると楽になります。
こう使う
伝えたい内容を箇条書きで渡し、「この内容を、保護者に伝わるやわらかい文章に整えて」と依頼します。出てきた文章を、自分の言葉と学校の状況に合わせて直してから使います。所見や通知表のコメントづくりについては、通知表の所見をAIで書くときのポイントでくわしく扱っています。
ここが大事
ここで絶対に守りたいのが、子どもや家庭の個人情報をAIに入力しないことです。名前や具体的な事情は伏せ、一般的な内容で下書きを作ってから、手元で個別の情報を書き加えてください。私が学校現場で徹底してきたのも、この個人情報の保護でした。
先生がAIを使うときの3つの注意点
最後に、授業準備でAIを使うときに、必ず押さえておきたい注意点をまとめます。
1. 個人情報を入力しない
子ども・保護者・同僚の名前や個人が特定される情報は、AIに入力しないのが原則です。所見や連絡文も、一般的な形で下書きして、個別の情報は手元で加えてください。
2. 内容の正しさは自分で確かめる
AIは、もっともらしく間違えることがあります。問題の答え、事実関係、日付などは、必ず自分で確認してから使ってください。
3. 学校・自治体のルールを確認する
学校現場でのAI利用は、自治体や学校の方針によって扱いが異なります。文部科学省も生成AIの利活用に関するガイドラインを示していますが、実際の運用は現場ごとに違います。使う前に、自校のルールを確認しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIに授業案を全部作らせてもいいですか?
A. たたき台として作ってもらうのはおすすめですが、そのまま使うのは避けてください。目の前の子どもたちに合わせて調整するのは、先生にしかできません。AIは土台づくりを早める道具、と考えてください。
Q2. 子どもの名前や情報をAIに入れて相談してもいいですか?
A. 入れないでください。子ども・保護者・同僚の個人情報は、AIに入力しないのが原則です。所見や連絡文も、一般的な形で下書きして、個別の情報は手元で書き加えてください。
Q3. AIが作った問題の答えは信用していいですか?
A. 必ず自分で確かめてください。AIは計算や事実をまちがえることがあります。問題の答えは、配る前に自分で解き直すことをおすすめします。
Q4. AIを使うと、準備時間はどのくらい減りますか?
A. 場面によりますが、ゼロから作る作業をたたき台の手直しに変えられるので、下準備の負担はかなり軽くなります。ただし、最終的な確認や調整の時間は残るので、「準備が丸ごと不要になる」わけではありません。
Q5. 学校でAIを使ってよいか、迷ったときは?
A. 自校や自治体のルールを確認してください。文部科学省のガイドラインも参考になりますが、実際の運用は現場ごとに異なります。判断に迷うときは、管理職や同僚に相談するのが安心です。
Q6. AIが苦手でも使えますか?
A. 使えます。難しい専門用語は必要ありません。「〇〇の授業案をたたき台で作って」のように、ふだんの言葉で頼むだけで十分です。まずは1つの場面から試してみてください。
まとめ:AIは「下準備の相棒」として使う
先生がAIを授業準備に使うときのポイントは、次のとおりです。
- 下準備で使う:授業案・教材・スライド構成・保護者文章のたたき台づくり。
- 仕上げは自分で:クラスに合わせた調整は先生の役目。
- 3つを守る:個人情報を入れない・正しさを自分で確かめる・学校のルールを確認する。
AIに丸投げするのではなく、たたき台を出してもらって自分で仕上げる。この使い方なら、準備を楽にしながら、授業の質を保てます。まずは1つの場面から、気軽に試してみてください。
次に読むなら:
- 教員向けツールの比較は教員向けAIツール7選の比較へ。
- すぐ使えるプロンプト集は授業ですぐ使える教員向けAIプロンプト50選へ。
- 子どもにAIを使わせる視点は小学生向け教育AIツール比較6選へ。
子どものAI、迷ったらまず先生の記事から。
現役講師が運営する比較メディアが、あなたの目的に合ったAIツールを案内します。








